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ダンテの「神曲」

1985年のフレディのソロアルバムに「メイド イン ヘブン」が入っています。
「メイド イン ヘブン」とは「天の配剤」という意味で、何かフレディの運命が決められていたかのような曲になっていますが、実はまだ病気のことなど全く知らなかった時期に作られた曲なのです。
これは良い曲だと思いますが、オフィシャルPVを見ると、フレディが赤いマントの怪人になって(ごめん、天地創造の神様なのかな)、地面には苦しそうな人間たちがのたうち回り、フレディは新しい地球の再生を成し遂げます。
このPVを見た時、やだこんな気持ちの悪い地獄は見たくないわ、ほんとにもうフレディは地獄が好きなんだから、と思いました。
ところが後で、このPVはダンテの「神曲」を表していると知り、俄然興味が湧きました。
この赤いタスキとマントの怪人ですね!
赤いマントの怪人
PVはこちらへどうぞ。
https://mewbo.jp › song › video › freddie-mercury-made-in-heaven

ダンテは1265年、イタリアのフィレンツェに生まれた詩人・哲学者・政治家で、1307年から1321年にかけて「神曲」を書きました。
「神曲」は3部に分かれており、「地獄編」「煉獄編」「天国編」となっています。
「神曲」が発表されて以来、西洋では基礎教養としてこの世界観がベースにあったので、沢山の芸術家がこの作品をもとに創作を行ないました。とくに西洋美術を鑑賞するためには欠かせない存在になっているので、アートスクール出身のフレディも、もちろん神曲を知っており、この芸術家の系譜に連なったわけですね。

フレディが好きな「地獄編」。
ここは9つのエリアに分かれており、生前に犯した罪によって、その罰が決まっており、歴史上の人物たちが配されています。
この世界は、一番上の世界が一番広く、そこから下へ降りるに従ってだんだん狭くなっていき、全体には漏斗のような形になっています。
ボッティチェルリが描いた地獄の9階層
ボッティチェルリの地獄

まず、地獄の門には、「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」という銘板があります。
そしてアケローン川が流れており、冥府の渡し守カロンが、亡者を船に乗せて地獄へ連れて行きます。
地獄は三つの邪悪「放縦」「悪意」「獣性」を基本として、それぞれが更に細分化された「邪淫」「貪欲」「暴力」「欺瞞」などの罪に応じて、亡者が各々のエリアに振り分けられていきます。
ダンテが尊敬していた恩師のラティーニは男色だったため、地獄の住人として登場します。

地獄の最も重い罪は「裏切り」で、一番下に裏切り者たちの輪があり、その中心にいるのが大魔王のルシフェルです!
ルシフェルはもともと神に仕える最も崇高な天使でしたが、神に反逆したことで地上に落とされた堕天使です。
ルシフェルが地上に落とされた衝撃で開いた穴が地獄になりました。
フレディが友人の裏切り行為を最も嫌ったのは、ここから来ているのかもしれません。

次に「煉獄」とは、
天国には行かれないけれど地獄に行くほどでもないという中間の世界で、罪を清めることによって天国へ入ることができるようになります。これはカトリックの考え方です。
煉獄には7つの罪があり、「高慢」「嫉妬」「怒り」「怠惰」「貪欲」「大食」「色欲」を清めていくことが必要です。

そして「天国」では、
「月光天」「水星天」「金星天」「太陽天」「火星天」「木星天」「土星天」という7つの天の上に、「恒星天」「原動天」「至高天」という3つの天があり、全部で10の天界から成っています。
ダンテは永遠に愛する乙女ベアトリーチェに案内され、知恵ある魂や聖人たちに会い、ついには天使たちの群れの中で、一瞬だけ神の姿を見るのです。

天国のイメージ
天国のイメージ

最後の行には「(神は)太陽やその他の星を動かす愛である」と結ばれています。

ダンテの「神曲」は、ダンテ個人の創作ではなく、紀元前以来の人類の知恵の統合されたものです。
「天国編」は、古代バビロニア以来の宇宙観そのもので、これが古代ギリシャに受け継がれました。
「地獄編」は、キリスト教の教父たちが聖書を編纂しながら、悪魔学の研究をするうちに作り上げたものでしょう。
それらにはゾロアスター教の影響もあるので、フレディには興味深いものだったことでしょう。

ダンテは生涯をかけてベアトリーチェを愛しました。
同い年の彼女とは9才の時に知り合い、18才で再会すると、彼は激しい恋に落ちました。
しかし実際に付き合うことはなく、お互いに違う相手と結婚し、ベアトリーチェは24才の若さで亡くなってしまいます。
その時、彼は半狂乱に陥ったといいます。(他の女性と結婚しているのに)
そして生涯をかけてベアトリーチェを、詩の中に永遠の存在として賛美していくことを誓いました。
「神曲」では、ベアトリーチェは天国にいてダンテを助ける永遠の乙女として描かれています。

シェフェール作 ベアトリーチェ 1846年
ベアトリーチェ

ゲーテの「ファウスト」も、もちろんこの「神曲」を下敷きとして書かれていることがわかります。
「ファウスト」のグレートヒェンの原型は、神曲のベアトリーチェだったのです。

「ファウスト」には、「永遠に女性なるもの、我らを引きて昇らしむ」という言葉があります。
 行動的で闘争的な「男性原理」に対する、安らぎと調和を志向する「女性原理」の働きを述べたものと言われます。
フレディ最後の「マザーラブ」を彷彿とさせますね。

そしてフレディにとってのベアトリーチェは、あのメアリーだったのでしょう。





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プロフィール

楽園のペリ

Author:楽園のペリ
1975年、初来日の武道館でクイーンを体験、フレディのファンになる。長らくクイーンのことは忘れていたが、映画を見て思い出し、フレディについて研究するうち、ついにロンドンのガーデンロッジや、モントルーのクイーンスタジオまで行ってきました!

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