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「悪魔学」について

フレディが70年代のインタビューで、「いまデモノロジーの勉強をしているんだ!」と、目をキラキラさせながら嬉しそうに言っていました。
demonologyとは「悪魔学」のことで、字幕では「悪魔教」となっていましたが、それは間違いで、宗教ではありません。
「悪魔学」とは、悪魔に対する考察、研究のことですね。

こんなにかわいい顔をして、悪魔学の勉強をしていたフレディ。
フレディ 悪魔学

若いうちは死に憧れたり、悪に惹かれたりするのは良くあることだと思いますが、「悪魔学」とは何でしょう?
じつは日本には、もともと悪魔は存在せず、明治維新後に西洋から入ってきたものなので、日本人には馴染みが薄いものです。
日本にいたのは「」や「狐つき」なので、ベビーメタルのファンは狐のフィンガーサインで応援するのですね。

悪魔が日本にいなかったとはいえ、私たちが西洋文化を理解しようとするならば、悪魔の理解は必須になります。
西洋文化の理解のためには、ギリシャ神話とキリスト教の理解が必要とされますが、次に重要なのは悪魔学ですね。

「ボへミアンラプソディ」にも悪魔ベルゼブブの名前が出てきます。
Beelzebub has a devil put aside for me 「ベルゼブブが僕を始末するために、悪魔を一匹用意しているんだ」
ん? 悪魔とベルゼブブは違うのか?

それでは悪魔について、ひもといてみましょう。
まず、悪魔はどのように生まれたのでしょうか?
ユダヤ教・キリスト教のような一神教の世界では、神は完全に善なるものでなければならず、するとどうしてもこの世の悪について説明する必要がありました。そのために、神に敵対する悪の根源としての悪魔が生まれたのです。
ユダヤ教・キリスト教の悪魔は、サタン、デヴィル、デーモン等と呼ばれます。
the Devil は悪魔の中で最高の地位にある魔王。
ボヘミアンラプソディの a devil は、その配下の小悪魔になります。

ベルゼブブとは「ハエの王」という意味で、新約聖書ではサタンと同一視されている悪魔の頭(かしら)です。
もとは旧約聖書で、カナン人の「至高の王」という名前の神だったのですが、ヘブライ人にとっては「異教の神」だっので、嘲笑的に「蠅の王」と言い換えたものです。

これが「蠅の王」ですが、これってそのまんまですね。
蠅の王

余談ですが、フレディが映画「レイダース 失われたアーク」を見た時に、男の口にハエが入るところを見て、腹がよじれるほど笑ったというのです。
これは男が「蠅の王」を食らったという意味にとらえたからだったのでしょうか?
口の中にベルゼブブが入ったらコワイですよね〜
そういえばハエと人間の遺伝子が混じる「ハエ男」という映画もありましたが、これもメタファーだったのか。そうか〜今頃わかった!

ところでユダヤ教・キリスト教では、本来は全能なる神で全てが説明されるはずなのに、神とは別に悪の原理である悪魔が存在します。
これはユダヤ教・キリスト教が二元的性格を持っているということであり、それは実はゾロアスター教の影響だったのです!
ゾロアスター教の最高神は善なるアフラ・マズダーですが、この神は全能の絶対的支配者ではなく、はじめから善に敵対するアーリマン(アンラ・マンユ)という悪魔が存在していました。アーリマンは絶対的な悪の原理です。
アフラ・マズダーとアーリマンの争いは、宇宙が存在する前から始まっていて、アーリマンは完璧だった世界に戦争・憎悪・病気・貧困・死をもたらしました。それから、この世界では善と悪の過酷な戦いが繰り返されることになったのです。
フレディはベルゼブブの前に、アーリマンを知っていました。アーリマンからベルゼブブが生まれたことを知っていたのです。

アーリマンのイメージ。かわいい
アーリマンのイメージ

他に有名な悪魔として「ルシファー」がいます。
ルシファーは「光をもたらす者」という意味で、実は野望のために破滅したバビロニア王として、旧約聖書に一度だけ登場するのですが、2世紀〜5世紀にかけて天界にいたルシファーが落ちて悪魔になったという伝説が出来上がりました。
ルシファーは善なる天使だったのですが、自分こそ最高だと考える傲慢の罪によって堕天したと考えられました。
堕天使ルシファーはサタンとなってしまったのです。
ルシファー

さて、一神教の世界では様々な悪魔が誕生しましたが、キリスト教では4世紀頃になって、新約聖書を正典としてまとめる必要が生じました。それはキリスト教と敵対するグノーシス主義の影響を排除するために、明確な神学を打ち立てる必要があったからです。
その神学の一部として、悪魔学が成立したので、もともと悪魔学とは神学であったのです。

グノーシス主義では、物質でできたこの世界は悪の世界であり、デミウルゴスという悪神が造ったとされます。
地上にいる人間はデミウルゴスの配下に支配されていますが、キリストが現れたことにより、デミウルゴスではなく真実の善なる神が存在することに気づきました。
人間はデミウルゴスが作った肉体に閉じ込められていますが、その中には真実の神が発した火花があります。
大切なのは真実の神の火花を、物質から解放することであり、そのために必要なことがグノーシス(知識)を得ることなのです。

3世紀にアフリカに生まれた教父ラクタンティウスによると、宇宙に善と悪の原理があるように、神は人間にも善悪の原理を与えました。それは魂と肉体です。魂は神を求めますが、肉体は悪魔に属します。
だから悪魔は食欲・性欲・富・権力・名声など、肉体の欲望を利用して、人間を開くへ導こうとします。
人間は、一方は天国へ、一方は地獄へ通じる道の分岐点にいるのです。

フレディも若いころ、善悪の問題について考え、これから自分の人生を切り開くに当たり、富や名声などを求めて、悪魔に魅力を感じたのかもしれません。
20代の時のステージのMCで、指に大きなガラスの指輪をはめて「これは本物のダイヤモンドだ! 悪魔からのプレゼントだよ!」と言っていましたよね。
「マーチ オブ ブラッククイーン」も黒い女王に従って、みんなで地獄へ行こう〜という歌でしたから、どうも若い頃は地獄や悪魔が好きだったようですね。
私はフレディは好きですが、一緒に地獄には行きません。フレディ、ちょっと地獄に行ってきて、それでまた帰ってきてね。
フレディの悪魔学への傾倒は、ゾロアスター教の家系や、キリスト教社会への若者らしい抵抗だったのではないでしょうか?








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プロフィール

楽園のペリ

Author:楽園のペリ
1975年、初来日の武道館でクイーンを体験、フレディのファンになる。長らくクイーンのことは忘れていたが、映画を見て思い出し、フレディについて研究するうち、ついにロンドンのガーデンロッジや、モントルーのクイーンスタジオまで行ってきました!

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